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奈良で仏像を観よう④興福寺
さて、今度は奈良駅を中心にお寺をまわります。

奈良公園には、みなさん、
修学旅行で行ったことがあるかな?

近鉄奈良駅から歩いて5分、
鹿がたくさんいる公園です。

この公園の中というかそばには二つの大きなお寺と、
奈良国立博物館があります。

ではまずは近いところから、
興福寺に行ってみましょー!

興福寺というと、有名なのはあの「阿修羅像」ですよね。

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#阿修羅像。図録から写メで撮ったらてかっちゃった…。まあイメージって事で;。

阿修羅王というのは本国インドでは荒々しい戦闘神で、帝釈天(インドラ)と常に闘い続ける悪役の神様ですが、この像を見ると、そのような荒々しさは感じられず、不思議な美しい存在に表現されています。
少女のような少年のような細い肢体、少し眉をひそめたようなはりつめた表情。これは、仏像の決め事に沿うというより、仏師・将軍万福の非常に個性的な表現だといえると思います。


この像は「脱乾漆」という手法で作られた像です。
木製の彫像などとは違って、漆と麻布で作ったもの。
粘土で土台を作り、漆で麻布を貼り付け、
固まったら中の粘土を取り除き木の骨組みを入れます。
いってみたら「張子」のようなものです。

表面の表情なども漆で持って造形していくので、
手間はかかりますが、自由度が高くまた大変丈夫だそうです。
とは言え、日本では木造のものが多く、脱乾漆像は、
ほとんどがこの奈良に集中しているといっていいでしょう。
また作られた期間も奈良時代(天平年間)がほとんど。
ですから脱乾漆像、と聞いたら、
「あ、じゃあ奈良時代くらいに作られた仏像かな?」
と思ってもいいです。


さてさて、この興福寺は、お宝がいっぱいです!
もともと藤原氏の氏寺ですから、お金に糸目をつけず素晴らしい仏像、
素晴らしい建物を建てまくりました。

このお寺さんの仏像には、時代として大きく二つに分けられます。

まず第一のビッグウェーブは、創建当時(奈良時代)。
この頃に作られたのは前述の「阿修羅像」に代表される「乾漆八部衆像」、
「十大弟子像」などの乾漆像。

次のビッグウェーブは、鎌倉時代。
平安時代末期に、平家によって大部分を破壊されてしまったため、
鎌倉期に再建されました。その時に、
運慶・快慶ら、いわゆる「慶派」仏師によって
素晴らしい仏像が多数造仏されました。
代表的なのは日本彫刻史上最高傑作の一つといわれる
無著菩薩(写真)・世親菩薩像。
#無著、世親さんはインドに実在した人物で、法相宗の教学を確立した偉い人たち。
 法相宗の本尊・弥勒如来の脇侍仏として表現されます。ちなみに彼らは兄弟です。


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#無著菩薩像。運慶の指揮で慶派の仏師によって作られました。

ここでは取り上げ切れませんが、あまりにも多数の素晴らしい仏像を見ることができます。
ここにある仏像を観てもらって、ああ、こういう仏像がいい仏像なんだな、と思っていただいてもよいかと思います。

ただ、前にもお話しましたが、無著菩薩像などは北円堂という建物にありますが、「秘仏」で、いつも観られるというわけではありません。

ここは10月20日から一週間ほど開帳するんですね。

実は先週、奈良に行ってきたんですけど、
この開帳には合わせられませんでした。
もう一つ南円堂という建物があるんですが、
そこはもっとレアで、年に一回しかご開帳しないんですね。
それが10月17日でして、観にいってきたんです~。
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#南円堂(横から)。内部は撮影できないので、お外から。写真にかろうじて写っているのは菩薩像の蓮座です。

人生で初めて。
ここには、不空ケンジャク観音菩薩像(国宝・桧材)と四天王像(国宝・桂材)があります。

正直、康慶だし、自分の好みとは違うかな~、と思って期待してなかったんですけど、
それは私の思い違いでした。素晴らしい!!



5体とも、秘仏ならではですけど、彩色も美しく残っていて、
素晴らしい像でしたよ。ひゃ~、いいもんみせてもろた。

さあ、次はもう一つのお寺、東大寺に行きますよ。
by ichimorimube | 2007-10-25 21:55