2007年 10月 25日
奈良で仏像を観よう④興福寺
さて、今度は奈良駅を中心にお寺をまわります。
奈良公園には、みなさん、 修学旅行で行ったことがあるかな? 近鉄奈良駅から歩いて5分、 鹿がたくさんいる公園です。 この公園の中というかそばには二つの大きなお寺と、 奈良国立博物館があります。 ではまずは近いところから、 興福寺に行ってみましょー! 興福寺というと、有名なのはあの「阿修羅像」ですよね。 #阿修羅像。図録から写メで撮ったらてかっちゃった…。まあイメージって事で;。 阿修羅王というのは本国インドでは荒々しい戦闘神で、帝釈天(インドラ)と常に闘い続ける悪役の神様ですが、この像を見ると、そのような荒々しさは感じられず、不思議な美しい存在に表現されています。 少女のような少年のような細い肢体、少し眉をひそめたようなはりつめた表情。これは、仏像の決め事に沿うというより、仏師・将軍万福の非常に個性的な表現だといえると思います。 この像は「脱乾漆」という手法で作られた像です。 木製の彫像などとは違って、漆と麻布で作ったもの。 粘土で土台を作り、漆で麻布を貼り付け、 固まったら中の粘土を取り除き木の骨組みを入れます。 いってみたら「張子」のようなものです。 表面の表情なども漆で持って造形していくので、 手間はかかりますが、自由度が高くまた大変丈夫だそうです。 とは言え、日本では木造のものが多く、脱乾漆像は、 ほとんどがこの奈良に集中しているといっていいでしょう。 また作られた期間も奈良時代(天平年間)がほとんど。 ですから脱乾漆像、と聞いたら、 「あ、じゃあ奈良時代くらいに作られた仏像かな?」 と思ってもいいです。 さてさて、この興福寺は、お宝がいっぱいです! もともと藤原氏の氏寺ですから、お金に糸目をつけず素晴らしい仏像、 素晴らしい建物を建てまくりました。 このお寺さんの仏像には、時代として大きく二つに分けられます。 まず第一のビッグウェーブは、創建当時(奈良時代)。 この頃に作られたのは前述の「阿修羅像」に代表される「乾漆八部衆像」、 「十大弟子像」などの乾漆像。 次のビッグウェーブは、鎌倉時代。 平安時代末期に、平家によって大部分を破壊されてしまったため、 鎌倉期に再建されました。その時に、 運慶・快慶ら、いわゆる「慶派」仏師によって 素晴らしい仏像が多数造仏されました。 代表的なのは日本彫刻史上最高傑作の一つといわれる 無著菩薩(写真)・世親菩薩像。 #無著、世親さんはインドに実在した人物で、法相宗の教学を確立した偉い人たち。 法相宗の本尊・弥勒如来の脇侍仏として表現されます。ちなみに彼らは兄弟です。 #無著菩薩像。運慶の指揮で慶派の仏師によって作られました。 ここでは取り上げ切れませんが、あまりにも多数の素晴らしい仏像を見ることができます。 ここにある仏像を観てもらって、ああ、こういう仏像がいい仏像なんだな、と思っていただいてもよいかと思います。 ただ、前にもお話しましたが、無著菩薩像などは北円堂という建物にありますが、「秘仏」で、いつも観られるというわけではありません。 ここは10月20日から一週間ほど開帳するんですね。 実は先週、奈良に行ってきたんですけど、 この開帳には合わせられませんでした。 もう一つ南円堂という建物があるんですが、 そこはもっとレアで、年に一回しかご開帳しないんですね。 それが10月17日でして、観にいってきたんです~。 #南円堂(横から)。内部は撮影できないので、お外から。写真にかろうじて写っているのは菩薩像の蓮座です。 人生で初めて。 ここには、不空ケンジャク観音菩薩像(国宝・桧材)と四天王像(国宝・桂材)があります。 正直、康慶だし、自分の好みとは違うかな~、と思って期待してなかったんですけど、 それは私の思い違いでした。素晴らしい!! 5体とも、秘仏ならではですけど、彩色も美しく残っていて、 素晴らしい像でしたよ。ひゃ~、いいもんみせてもろた。 さあ、次はもう一つのお寺、東大寺に行きますよ。
by ichimorimube
| 2007-10-25 21:55
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